No. 118
オーソライズドジェネリックについて

 年々増え続ける医療費に少しでも歯止めをかけるために、国は値段の安いジェネリック(後発医薬品)を推奨しています。しかし私は医師として、安全と認めた薬以外は、患者さんに処方できないと考えています。ジェネリックは「にせ物」ではないが、「全く同じ」ものではなく、品質・有効性・安全性において、先発メーカー品に比べて劣るものがあります。また製造管理及び品質管理体制の不備・不正により行政処分を受けるジェネリック製薬企業が後を絶ちません。その結果、医療現場では必要な医薬品が供給されない等、多大な影響を受けています。ジェネリック医薬品が欠品すると先発医薬品も影響を受けて欠品して、流通崩壊を起こしてしまうのです。皆様もこの数年間、いつもの薬が欠品して他の薬に代わってしまったという経験をされた方が多いと思います。医師にとっても、本当に処方したい薬がないというのは大変悔しい思いです。

 先発医薬品の承認申請には、物理的化学的性質規格・試験方法、薬理作用、吸収・分布・代謝・排泄、臨床試験など数多くの試験を行い、20を超える資料を提出する必要があります。これに対してジェネリックでは、有効性・安全性については既に先発医薬品で確認されているとして、安定性試験・生物学的同等性試験を実施して基準をクリアすれば製造承認がおります。承認申請時に、7つの毒性試験が全て免除されていることは危険なことだと思います。

 ところが最近では、大学病院に至るまで画一的に全ての薬をジェネリックに変更している傾向があり、危惧しています。患者さんの間でもジェネリックについては、「メーカー品と全く同じ薬で、しかも安い」という誤った情報が広まっています。人は、テレビのCMで有名俳優さんが言っていることを信用しがちで、そこが悲しいところです。

 オーソライズドジェネリック(AG)という薬があります。AGとは「原料も製造工程も先発医薬品と全く同じ医薬品を、ジェネリックとして安く発売する」ということです。これについては安全性の点で全く問題ありませんので、成田クリニックでは、AGが発売され次第積極的に採用しております。成田クリニックで院内処方する薬は、オーソライズドジェネリック(AG)か先発医薬品のどちらかになりますが、薬の種類は必要最小限になるよう心がけています。これが医療費削減の本道だと考えております。ご理解のほどよろしくお願いします。