No. 116
町田市肺がん検診について

 2022年10月より、町田市の肺がん検診が始まり、成田クリニックでも行っています。

 肺がんは世界的に増加傾向にありますが、アメリカ、イギリスでは喫煙率の低下に伴い減少しはじめています。しかし、日本ではまだ増加の一途です。すでに男性では胃がんを抜いて死亡率の最も高いがんになっていて、最近では女性にも増えてきています。喫煙と深い関係にあることが多く、予防に禁煙は欠かせません。

 肺がん検診は、胸部X線検査と喀痰細胞診の組み合わせで行われています。胸部X線検査は、主として肺胞に近い肺の末梢(身体の表面に近い場所)の肺がんを、喀痰細胞診は気管や太い気管支に肺がんを発見します。

検診は40歳以上の方が対象で、胸部X線検査を複数の医師によるダブルチェックで行われます。50歳以上で喫煙指数(1日の喫煙本×喫煙年数)が600以上の方には喀痰細胞診は3日分の痰を一つの容器に入れて提出し、痰の中のがん細胞の有無を調べます。検診で疑いが出た場合は、精密検査として胸部CT等を行います。

私は、1982年から藤沢市民病院呼吸器科に勤務しました。そこでは私の恩師である長谷川英之先生を中心として、藤沢市医師会と共に藤沢市民のための肺がん検診を行っていました。日本では最初の方だったと思います。胸部X線写真を複数の医師がダブルチェックし、さらに6名位の医師で検討会が開かれました。気管支ファイバースコープの開発者である国立がんセンターの池田茂人先生も参加されて、肺がん検診について経験を積みました。大学病院を経て、1986年に神奈川県立がんセンター呼吸器内科に移動しました。日本気管支学会の気管支鏡指導医にもなりました。1987年からは、国の施策としての肺がん検診が始まりました。

検診での肺がん発見率はそれほど高いものではありませんが、初期の肺がんは自覚症状がないので検診でなければほとんど見つかりません。しかし早期に発見すれば、近年治療法の大きな進歩があり治癒も可能になってきています。

 ご希望の方、過去にでも喫煙の経験がある方は是非、成田クリニックに直接お申し込み下さい。町田市成人健康診査と同時でもお申し込みいただけます。