No. 127
オーラルフレイルについて

 前々回(No.125)でフレイルのお話をしました。フレイルとは健康な状態と要介護の間の段階の事ですが、オーラルフレイルの症状はフレイルの初期に現れ、老化の初期のサインとも言われています。

 歯や口には「食べる」「話す」「表情を作る」「呼吸をする」など様々な働きがあります。オーラルフレイルとは歯や口の機能が衰えた状態のことです。「話がしにくい・飲み込みにくい・むせる・こぼす」などが、舌を含めた口の周囲の衰えでおこります。オーラルフレイルは、口腔機能低下を引き起こしますが、その中でも怖いのが誤嚥性肺炎です。

 誤嚥性肺炎とは、食べ物や飲み物、唾液などが食道ではなく気管に入り、さらに肺の中へ入って炎症を引き起こす症状のことで、主に高齢の方によく見られます。高齢者の場合、咀嚼機能や嚥下機能などが低下しているため、むせたり上手く飲み込めないので誤って気管に入ってしまうことがあります。さらに高齢者の多くは歯周病に罹患しているため、歯周病菌などの細菌が一緒に肺の中へ入ることで肺炎を引き起こしてしまうのです。このように、オーラルフレイルは誤嚥性肺炎ととてもかかわりが深く、命に関わることもあります。

 オーラルフレイル対策としては、お口のトレーニングが効果あります!

①咀嚼機能の向上訓練(開閉口筋訓練)

 咀嚼に使う咀嚼筋を鍛える体操です。「あー」とできるだけ口を大きく開け、舌を上顎に押し付けて奥歯でかみしめる「んー」を3回繰り返します。

②パタカラ体操(舌・口唇のトレーニング)

 口唇、舌の先端、舌の奥を意識しながら、パ・タ・カ・ラの音を発音してトレーニングをしましょう。繰り返し続けることで、滑舌が良くなるほか、食べる機能の維持向上にも効果があります。

1.単音での発音「パパパ・・・」「タタタ・・・」「カカカ・・・」「ラララ・・・」のように1音ずつ連続で発音する。

2.「パタカラ、パタカラ・・・」を連続して発音します。

3.文の発音 パ・タ・カ・ラを含む文を発音する。よく使われているのが、「パンダの宝物」という一文で、「パンダのたからもの、パンダのたからもの・・・」のように発音します。

③唾液腺マッサージ

 耳下腺、顎下腺、耳下腺の周囲に手を当て、力を入れずに優しくマッサージすると、唾液が出てきます。唾液が多いと、食べ物が口の中でまとまり、飲み込みやすくなります。

④嚥下訓練

 喉は、空気と飲食物の通り道がクロスする複雑な構造をしています。安全に飲み込むためには、首や肩の周りのリラクゼーションがとても重要です。毎日のブクブクうがいとガラガラうがいを意識的に繰り返すことで、舌の奥の方の筋肉や飲み込みの機能向上が期待できます。

 歯科への定期健診もおすすめです。