No.130

お財布に優しい?院内処方を当院が続ける理由

 

 医療機関で診察を受けた後、街の調剤薬局へ処方箋を持っていく「院外処方」がすっかり定着しました。かつては病院やクリニックの中で薬を受け取る「院内処方」が主流でしたが、国が推し進めた「医薬分業」政策により状況が一変します。院外処方箋料の引き上げや薬価差益の縮小など、医療機関にとって院外処方のほうが利益を出しやすい仕組みが整ったことで、一気に普及が進みました。 

 院外処方には薬剤師によるダブルチェックや手厚い服薬指導を受けられるメリットがあります。

 一方で「院内処方」は医療機関にとっては、在庫管理の手間や人件費、期限切れリスク、そして薄利化が重荷となり、収益面で圧倒的に不利な選択肢となっていきました。

 実は現在の医療業界において、「院内処方は絶滅危惧種」とさえ言われています。全国のクリニックの8割以上が院外処方を選択する中、当院があえて ”時代に逆行”し続けているのには理由があります。

 私の父は当院開設当初から、一貫して院内処方にこだわり続けていました。私自身、最初は「時間短縮」や「移動の手間を省く」という利便性のためだと思っていたのですが、改めてその価値に向き合った際、もう一つの大きな強みに気づかされたのです。それが「患者さんの費用負担の大幅な軽減」でした。

 あまり知られていませんが、患者さんが窓口で支払う費用は、院内処方のほうが安く抑えられる構造になっています。調剤薬局を利用する院外処方では、調剤基本料や服薬管理指導料といった技術料・加算が細かく発生するのに対し、院内処方ではこれらの加算項目が非常に少なく設定されているためです。

 同じお薬・同じ処方日数であっても、院内処方にするだけで窓口負担が数百円単位で安くなるケースがほとんどです。毎月定期的に通院される患者さんにとって、年間での経済的メリットは決して小さくありません。

 手間や移動を減らす「時間的利便性」と、医療費を抑える「経済的メリット」。効率や利益ではなく「目の前の患者さんが受ける恩恵」を最優先にする院内処方こそ、まさに「患者ファースト」を具現化した形だと考えています。

 当院では、患者さんに少しでも便利で安心して通院していただけるよう、これからも院内処方を続けてまいります。お薬についてご不安な点や気になる費用面のことなど、受診の際にお気軽にご相談ください。